ゼスト Tech Blog

ゼストは「護りたい。その想いを護る。」をミッションに、在宅医療・介護業界向けのSaaSを開発しています。

医療情報技師能力検定試験に合格しました!

2025年度の医療情報技師能力検定試験を受験し、無事合格したので、感想について述べたいと思います。

医療情報技師とは?

医療情報技師は、一般社団法人日本医療情報学会が認定する専門資格です。病院をはじめとする医療機関において、情報システムの企画・開発から運用・管理まで幅広く携わることができる人材を認定するもので、医療現場のIT化・デジタル化を支える重要な役割を担っています。

この資格は、医療の専門知識とIT技術の両方を兼ね備えた人材を育成することを目的としており、電子カルテの導入支援、医療データの適切な管理、システム間の連携構築など、現代の医療現場に欠かせない業務を専門的に行うことができる能力を証明するものです。

試験は年1回実施され、「医学・医療系」「情報処理技術系」「医療情報システム系」の3科目で構成されています。医学・医療系では医学の基礎知識や医療制度を、情報処理技術系ではデータベースやネットワークなどの情報処理技術、医療情報システム系では電子カルテや部門システムなどの実践的な知識が問われます。

www.hcit.or.jp

受験の目的

ゼストでは訪問看護・介護・診療向けプロダクトを提供しています。直接的に病院情報システムを扱うわけではありませんが、医療機関がどのような情報管理を行い、何を重視しているのかを体系的に理解することは、今後のプロダクト開発において大きな強みになると考え、受験を決めました。

特に、今後の日本の医療・介護において地域包括ケアシステムの構築が急務となる中で、訪問看護・介護事業所と医療機関との連携はますます重要になってきます。電子カルテとの情報連携、診療情報の共有、レセプト請求の仕組みなど、医療機関側の情報システムがどのように構築され、どのような標準規格や要件が求められているのかを理解することは、医療・介護業界全体を俯瞰する上で重要なドメイン知識となります。

また、医療情報技師の学習を通じて、医療現場特有のセキュリティ要件、個人情報保護の考え方、医療安全に対する取り組みなどを学ぶことで、訪問看護・介護の領域においても、より医療機関から信頼されるプロダクトづくりに貢献できると期待しています。

実際にゼストでは、Product Managerをはじめ医療情報技師の資格を持つ社員が在籍しているほか、看護師、理学療法士作業療法士などの医療専門職の資格を持つメンバーも多数在籍しており、それぞれの専門知識と現場経験を活かしたプロダクト開発を推進しています。

受験した感想

実際に医療情報技師試験の学習を進めてみて、想像以上に幅広い知識を体系的に学ぶことができ、非常に有意義な経験となりました。

医学・医療分野では、特に医療安全に関わる取り組みについて深く学べたことが印象的でした。インシデント・アクシデントレポートの仕組みや、ヒヤリハット事例の分析手法、医療事故防止のためのダブルチェック体制など、医療現場がいかに安全性を重視しているかを理解できました。

また、医療法や医師法保険診療の仕組みといった各種法令の基礎知識に加え、DPCといった診療報酬制度、ICD-10による疾病分類など、医療における標準化の重要性と具体的な取り組みを知ることができたのも大きな収穫でした。

医療情報システム分野では、病院情報システム(HIS)の全体像を俯瞰的に理解できたことが特に良かったです。電子カルテを中心に、オーダーエントリシステムがどのように各部門システムと連携し、検査オーダーや処方指示が院内でどう流れていくのかを学びました。また、HL7による医療情報交換の標準規格、DICOMによる医用画像の管理、SS-MIXによる診療情報の標準化ストレージなど、医療機関間の情報連携を支える各種プロトコルや標準規格について知識を深められたことは、今後の業務においても活用できる貴重な学びとなりました。

まとめ

医療情報技師能力検定試験への挑戦は、訪問看護・介護・診療領域のプロダクト開発に携わる私にとって、医療業界全体を俯瞰的に理解する貴重な機会となりました。病院情報システムの仕組みや医療現場特有の要件を体系的に学ぶことで、これまで断片的だった知識が一つにつながり、医療・介護の連携における課題や可能性をより深く理解できるようになりました。

特に、医療機関がどのような視点で情報管理を行い、安全性や標準化にどれだけ注力しているかを知ることで、訪問看護・介護事業所が医療機関と円滑に連携するために必要な要素が明確になりました。この学びは、直接的な機能開発だけでなく、医療従事者の方々とのコミュニケーションにおいても共通言語として活きてくると思っています。

今回の受験を通じて得た知識をゼストのプロダクト開発において活かし、より医療現場に寄り添ったサービスづくりに貢献していきたいと思います。