こんにちは。「護りたい。その想いを護る。」株式会社ゼストのプロダクトマネージャーを担当している川添です。ついに我が社もアドベントカレンダー企画ができるようになりました!わーい!というわけで、私も担当させていただこうと思っています。
さて、突然ですが、私は家事が嫌いです。
買っても買っても一瞬でなくなる食品・日用品。片付けても片付けてもすぐに散らかる部屋。洗っても洗っても気がつくと山積みになっている洗濯物。 ただ生きているだけなのに、やることが多すぎやしませんか。
ひとり暮らしの頃は、週末の洗濯や深夜の洗い物はどちらかといえば好きでした。家事リセットして「あーこの家・・・すき・・・」と思いながら寝落ちするしあわせ。けれど、結婚して子どもが生まれて、びっくりするほど時間がない中で、日々、毎週、確実にプライベート時間を侵食する家事の存在がゆるせない。とはいえ、もう家事なんてしなーーーい!と言ったところで、散らかった家にいても居心地が悪くなるだけです。どうすれば散らからない家になるんだ・・・と我が家のメンズチームに「出したらしまう」「開けたら閉める」を教えても、その一瞬の行動が変わるだけ。
そして、あまりにも現実が辛くなった私は、なんとか日常の雑務から頭だけでも現実逃避を図るため、Claudeにこう問いかけました。
「RPGのいろんな店で買い物するというUXをモチーフにした買い物リストアプリってどう思う?」
私は日頃から、誰も気乗りがしないことは何でもかんでも遊びに変えてしまえばいいという考えで生きていて、子どもに偏食があれば「食べたものでライフ(炭水化物)と攻撃力(タンパク質)と防御力(ビタミン)のスコアが上がっていくステータスボード」をつくってみたり、子どもが勉強しなければ「クエストにチャレンジして達成すると某ハンターの素材アイテムがゲットできるクエストボード」をつくってみたり、とにかくゲーム化することを信条にしています。
それで、私自身の家事タスクも「いっそゲームにしてしまえばいいではないか。RPGでフレーバーテキストが面白いものを買うだけで楽しいんだから、アレをそのまま買い物リストにしてしまおう」と思い立ったのでした。
Claudeに作ってみてもらったのがこんな感じ。

しかし。OOUIに則ったうちのプロダクトを触りすぎて最近忘れていたけど、これが使いづらさってやつか・・・!むり!というわけで、謎のやる気に火がついてしまって、Notionで大真面目にタスク管理用のゲーム風ツールをつくることにしました。(寝る間を惜しんで)
設計で考えたこと
当初は買い物リストをつくっていたのですが、「あれ、これって子どもたちがやりたがる"おつかい"と相性めっちゃいいのでは・・・」という思いつきで「クエスト」というオブジェクトがうまれ、「クエストなのに買い物だけっていうのもおかしいよな」という流れで「モンスター」と「ダンジョン」が生まれ、「ああ、もし現代に勇者がいたら、勇者もスマホやアプリ使うよな」ということで、アプリでもないけど「勇者アプリ」という名前にしています。

OOUIに基づいた設計にするため、タスクを洗い出してGeminiと壁打ちして精査していきましたが、このアプリの一番難しいところは「買い物リストの利便性を追求すれば、店で買うのを模したUXなんてゴミ」ということです。操作したいオブジェクト・・・たとえば、購入したいと思っている「にんじん」にいかに早くたどり着き、「にんじん」を軸に行動を選べることが大切なのに、食べ物市場、野菜と選ばなければいけないなんて風上にも置けないUXなので、わかっちゃいたけどGeminiにボコボコにされました。

結論として、そういった「探索したい」という私のエゴUIはホーム画面に配置し、オブジェクトとしては「買うものリスト」「持ち物」「アイテム図鑑」を管理する「アイテム」を作って事なきを得ました。(うちのデザイナーさんに見てもらったらまだ粗だらけかもしれない)
導入効果は…
もともとは私自身の買い物リストとしてつくった勇者アプリですが、子どもたちもノリノリ。私一人が狂戦士になって吠えながら家事に追われるのではなく、子どもたちも一緒に戦ってくれる勇者パーティーになった感じです。(夫は料理担当として日々「体重増加」効果を付与してくれています。にゃー)
スーパーを駆け回っていた暴走次男が買い物リストを見ながら道案内してくれるように
かつてはスーパーの自動ドアが開いた瞬間、陳列棚と陳列棚の間を駆け抜けていた次男にスマホをもたせ、「商品をカゴに入れたら買い物リストのボタンを押してね」と伝えると、「まずはミニトマト!次はきゅうり!こっち!」と案内してくれるようになりました。地域の方が微笑ましい様子で見守ってくださっていて嬉しかった・・・。ほろり。
長男が掃除機に目覚めてお部屋をピカピカにしてくれるように
食べこぼしゴミに「ミールピクシー」と名付け(ChatGPT考案)、ごはん後に「ミールピクシーが大量発生しているぅーーー」と言うと「僕がやっつけるよ!」と立ち上がる模範的長男。実はこのモンスターはGeminiに画像デザインしてもらうときに子どもたちに"監修"してもらっていて、愛着があったことも要因のひとつのようです。掃除機をかけてモンスターの討伐完了を報告し、報酬を得て満足げでした。翌日には次男を弟子にしていました。

ちなみに、名も無き家事という言葉が注目される昨今、「これはあくまでゲームだもの」という考えのもと、何をするにもジャンジャカ報酬を設定しています。たとえば「玄関の靴が脱ぎ散らかされていないか」パトロールしただけで討伐時と同じ報酬を発生させています。子どもたちいわく100万ゴールド貯めたいらしいです。
抜け漏れタスクを防げる
割と常にキャパオーバー気味な人生を送ってきているので、ToDoリストは人生のおともみたいなところがありますが、忙しくなりすぎるとToDoリスト管理ToDoに追われて自分で自分の首を締めている感覚になります。そこで、自分自身のタスクも徹底的にクエストとして管理するようにしました。たとえば、直近ではクリスマス前の大掃除クエストや、東京出張準備クエストなど。ちょっとしたことを全部遊びに変えることで頭が錯覚するので、便利ないきものです。
Notion魔改造ポイント
Notionが大好きすぎて個人でも愛用しているのですが、今回ばかりはちょっと引きました。マジでなんでもできる。特に重宝したのは「データベースのギャラリービュー」と「ボタン」、そして「レイアウトのカスタマイズの"タブ付き"」「定期スケジュール化」です。人知れず最強アプデを繰り返すNotionは本当にすごい。
ゲームしている感を演出するギャラリービュー
もともと以前は単純な買い物リストマスターをNotionで作っていて、「今週買う」チェックボックスのTrue/Falseで運用していたのですが、これだと全然ゲームではないので、ギャラリービューを使ってドット絵をサムネ表示して少しでも「これはRPGの街で買い物をしているのだ」と思えるようにしました。
確認ダイアログを使った体験
Notionで「ボタン」を使うと「確認」を出せて、進むかキャンセルするかの2択まで分岐可能です。そこで、無駄に店主キャラクターをつくってしゃべらせたり、討伐クエスト(掃除)で戦っている感を出したり、アイテムを使った時にもセリフを言うようにしてゲームしている感をアップ。「たたかうorにげる」「店に入るorやっぱやめた」のような、日常生活だと気まずいからこそゲームの中ではやるよね、みたいなものを表現してみました。

なお、こういうのは細かいところの作り込みこそが大切だと思っていますが、キャラクターの名前やドット絵、フレーバーテキストはChatGPTやGeminiに作ってもらいました。
レイアウトのカスタマイズの"タブ付き"
この機能は少し前にしれっとアップデートされていたんですが、本業でもプライベートでもこの「勇者アプリ」でも大活躍です。すごく使える。Notionが業務の中心にある人にとっては天地がひっくり返るくらいのインパクトだったのではないかと個人的には思っています。今回は、Notionのちょっと人を選ぶUIを子どもでも使えるようにしたり、メンテコストを圧縮するために多用しました。ピンで固定するのも助かりました。グロナビやタブバーみたいな概念を擬似的に表現するのにも使えます。
定期スケジュールでクエストが勝手に湧くように
ゲーム化するため、そして「タスクの抜け漏れ」を防ぐため、クエストは定期スケジュールで発生するようにしています。たとえば「郵便クエスト(学校からのプリントを渡す)」「宿題」「薬やクリーム」など。定期的な予定を「忘れておける」というのは、忙しいときにはめちゃくちゃ重宝しますよね。
最後に
今回はアドベントカレンダーということで、どっぷりと趣味趣向あふれる世界について語ってしまったのですが、実は仕事でつくっている「ZEST SCHEDULE」はNotionの神っぷりにも負けない多種多様な機能で在宅医療・介護業界の課題解決に貢献しています。
自分自身のスケジュールやタスク管理に向き合って改めて思いましたが、抜け漏れてはいけない物事の管理って本当に難しくてストレスフルです。この業界ではさらに「誰が行くべきか」「アイドルタイムを生み出さないためにはどういうルートにするべきか」「どの枠で新規受入すれば破綻しないか」といったことをたくさんの変数と戦いながら考え続けなければなりません。
今回の「勇者アプリ」でいえば、もしこれが50人の勇者パーティだったら?
- 50人全員に異なるスキル(資格)、得意武器、稼働可能時間がある。
- クエストは街中(広大なエリア)にランダムに発生し続ける。
- 移動中の勇者が渋滞に巻き込まれたら?
- 勇者Aが急な発熱でダウンしたら、誰が代わりのクエストをこなす?
こうなると、Notionの手動管理では無理があります。しかし、人手不足が叫ばれるこの時代に、「人手不足ではなく、時間不足」という切り口でZEST SCHEDULEは進化を続け、現在は収益最大化プラットフォームとして予定を核とした様々な領域へと展開しています。
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